tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替レートとゴルフのハンディ

2014年07月15日 09時48分27秒 | 国際経済
為替レートとゴルフのハンディ<2009年2月6日付のリメイク版>
 このところ集中的に物価問題を扱ってきました。先ずインフレについて、それからスタグフレーション、そしてデフレです。そうした中から見えてきたのが、物価問題と為替レートとの関係でした。

 固定相場制の時代は物価問題は単純でした。「自家製インフレ」さえ阻止するような労使関係、賃金決定を守っていけば、経済は健全に維持できました。
 しかし、アメリカ主導による、「変動相場制+マネー資本主義」という経済環境の中ではそうはいきません。

 日本のように、一国経済としてのパフォーマンスがいくら優れていても、大幅円高にされれば、デフレ転落は避けられません。
 固定相場制時代、円レートは$1=¥360でした。プラザ合意とリーマンショックでそれが、$1=¥80近辺(史上最高は75.54円)まで円高になりました。こんな国は世界のどこにもありません。

 かつては「円が高いことは日本の経済力の高さの反映だから喜ばしいことだ」などという専門家もいましたが、円高による「失われた20年」で塗炭の苦しみを味わった今はそんな人はいません。

 円高という現象は、ゴルフのハンディに例えるのが一番良いと思っています。ハンディ36(360円)から出発した日本は、ニクソンショックによる変動相場制移行でハンディ24($1=¥240)になりました。
 その頃の日本の実力は真面目な練習(生産性向上努力)の結果、ハンディ20~22相当でしたから、コンペでは常勝、まさに「ジャパンアズナンアバーワン」でした。

 たまりかねた欧米諸国は「プラザ合意」で日本を説得、ハンディを12($1=¥120)にしました。実力20でもハンディを12にされたらもう勝てません。一生懸命練習(失われた10年)して、たまには3位入賞も出来そうという時期に、リーマンショックでハンディ8のシングルにされ、ピークで7.5だとも言われました。失われた10年は20年に延びました。

 シングルは名誉ですが、名誉では飯は食えません。黒田日銀はアメリカに倣って超金融緩和政策を取り、$1=¥100(ハンディ10)に戻してもらいました。
 日本経済は何とか息を吹き返しました。

 プラザ合意の時は、一応挨拶がりました。しかしリーマンショックの時は、国際投機資本が勝手に日本のハンディを決めています。

 G8でもG20でも、為替相場の安定は言われ、行き過ぎたマネーゲームの阻止の論議もされます。しかし、実効は上がりません。
 理由は、基軸通貨国アメリカが、万年赤字で、マネーゲームによるファイナンスを必要としているからだなどと言われます。
  この問題もこのブログの重要テーマの一つです。


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